現実・非現実・そして槌音」

 

 2011311日の現実(大津波前)・非現実(大津波後)、そして槌音

(現在)を追ってみました。

 

現実

  たまには荒れることがあっても、いつもは穏やかで人々に恵みを沢山もたらして

来たあの海が好きで、よく漁村の光景を撮っていました。

 

非現実

  その海が、2011年311日午後、突然大暴れをしました。それも800年に一度の

大暴れだそうです。一瞬にして多くの人々を飲み込み、すべてを破壊してしまいました。

一面が瓦礫と化した光景は、「戦争でもありえない」と救援活動をしていた自衛隊さん

から聞かされました。人間が長年かかって構築してきた知恵と防御は、ほとんど役に

立たなかったのです。私の親族にも命をおとしたり、家屋を失ったりした方が数人

おられます。その後、津波後の撮影を試みましたが、涙が出てきて、どうしてもシャッター

を押すことができませんでした。後日思い切って撮影したのが、この非現実です。

4回目の挑戦でした。当日は、折りたたみ自転車・マスク使用で警察官・自衛隊の方々に

許可を得ながら三脚をたてピンホールカメラで撮影しました。すべて石巻の416日の

光景です。見渡す限りヘドロと瓦礫がどこまでも続き、草木すら見当たりません。

まさに「黒い波の痕跡」そのものでした。

 

そして槌音

  三年半経過した現在の被災地、宮城県石巻市と女川町などの光景です。

雑草で囲われた旧住宅地と町の中心部ですが、ほとんど何もあません。

勿論、人もほとんど住んでいません。復興まで長い時間がかかることで

しょうが、日本人の英知と努力で、この難局を乗り越えることを願うばかりです。

 

                             2014年8月31日

 

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