「みちのく風の足跡」
「みちのく」を撮り始めて10年ぐらいになるだろうか。「みちのく」は奥が深い。
撮っても撮っても終わることがない。ただ、区切りとしてタイトルだけを変え次の
写真を継ぎ足してきたような気がする。雪の季節の「みちのく」は私にとっては
苦手で、毎日コタツの運転手をしていたいほうだ。
遅い春を待って、毎月のように「みちのく」を歩き廻っている。
しかし、田舎の風景も生活様式も街で見かけるそれらと、殆ど変わらないような
気がする。バイパスが多く作られ、目的地に早く着くが私のテーマ「ノスタルジー」は
殆ど見つからない。途中から横道に入り、進んでゆくと道が無くなったり
奥まった家の専用道路だったりで、大きな車は通れなくなることもしばしばある。
私は軽四輪に撮影機材、食料を積み込み「一枚でもいいから、いい被写体に出会いたい」
と願い何時も出かける。一日に2~3枚しか撮れないこともあるが、その日は満足で家路に
つく。何時終わるかわからない「みちのく」シリーズを、出来るだけ長く続けたいものだ。
2018年9月
公益社団法人 日本写真協会 会員 笹崎 正明